自然の木や木目には、自然のゆらぎで人の心をリフレッシュさせる効果があるといわれています。スギやヒノキの香りには、フィトンチッドなどが含まれ、癒し効果、リラックスの効果があることが明らかになっています。
木質の空間も人に心地よい感覚を与え、人の健康や心理面にいい影響を与えてくれることが分かります。昔から、日本人は住まいや身の回りの道具などに木を多く用いてきました。それは耐久性、通気性に腐食に強いだけではなく、木質の空間の心地よさをからだが理解しているからです。
お寺や、有形文化財の旧家等に行った時、なんとなく懐かしい居心地の良さを感じた事はありませんか?木造建築には合成建材の家は、古くなればほころびが見える。しかし、木の家は時間が経つほど風格が出る。家を建てて使い込むことによって愛着と味わいが出ます。もちろん最低限の手入れは必要です。
昔から日本では、住居の中にいかに上手に自然を取り入れるかが工夫されてきました。障子越しの柔らかな光、風を呼び込む通り庭、内でもない外でもない縁側など、日本人は四季の移り変わりを暮らしの中に取り込み心の豊かさのを育んできました。木や土、紙。どれもとてもやさしい材料を使い感性に添った、自然との一体感を大切にしています。
本当に丈夫で長持ちし、住む人に安らぎを与えてくれる家をつくるには、どうすればいいのか。例えば、山の斜面の南側に生えた木は、家の南側の素材として使用する。北斜面から伐採された木は北側に使う。それが大切な一つの方法だと言われています。もちろん実際には、そんな贅沢なことはなかなかできません。しかし、そのように理想を追求し、さらには素材を吟味し、万全の施工をすることもひとつの受け継がれている技術の一つです。
百年の寿命をもつ木造住宅も建てることができると言われています。それが嘘ではないことは、法隆寺の長い歴史を持ち出せば十分でしょう。
もちろん法隆寺と同じ住宅を作ることはできません。ですが、あのような木造住宅の粋を集めた建造物を完成させた人たちの意志を、現代の木造住宅の施工に受け継ぎ、さらに新たな新技術を取り入れて発展させることができるはずです。